第2節 中学生の居眠り

中学生の居眠りに対する意識と、居眠りの実態を調査するために、無記名で記述アンケートを行なった。(資料2

◆ アンケート概要
実施時期:1999年12月
対象:大阪府堺市内にある学習塾に通う中学生83名
実施方法:学習塾の授業終了後にアンケートを配布し、自宅で回答してもらい後日回収した。

◆ 集計結果
番号は、アンケート(資料2)の質問番号と同じ。番号のあとに質問内容を載せてある。

1. 《平日の起床時刻と就寝時刻を教えてください。(複数ある方は、そのうち最も多いものを記入してください)》

 はじめに、平日の起床時刻と就寝時刻を聞き、それから睡眠時間を算出した。平均起床時刻は7時13分、平均就寝時刻は23時51分、平均睡眠時間は7時間22分となった。
 財団法人連合総合生活開発研究所が1995年に行なった「子どもの生活時間アンケート調査」によると、中学2年生の平日の平均睡眠時間は7時間41分、中学3年生のそれは7時間34分であった。また、日本学校保健会が1996年に実施した調査では、平均就寝時刻23時28分、平均睡眠時間7時間22分となっている4ことから、今回の調査が特殊なものではないことを示している。

2. 《家で充分な睡眠をとれていますか。(充分とれている・まあまあとれている・ふつう・あまりとれていない・ほとんどとれていない)》

 家庭で充分な睡眠がとれているかを5段階にわけて聞いた(グラフ1)。
 「ふつう」(38%)の解釈としては、どちらともいえない、というものが当てはまるであろうから、「ふつう」を除いた62%の生徒のうち、「あまりとれていない」(28%)「ほとんどとれていない」(4%)が合わせて32%であった。つまり、半分をこえる生徒が、睡眠がとれていないと感じながら登校していることになる。
 また、1996年に北海道の遠軽町学校教職員研修委員会技術家庭サークルが行なった「小・中学生の生活実態アンケート調査」では、「あなたの睡眠は十分だと思いますか。」という問いで、十分・だいたい・少し不足・不足の4段階にわけて調査した結果でも、半数弱の生徒が不足または少し不足と答えている。

 1,2を踏まえ、睡眠時間別に睡眠の満足度をまとめてみた(表3)。
 質問1で求めた平均睡眠時間(7時間22分)は、この表において睡眠時間7時間〜8時間未満の行(緑色)に入り、この行における「あまりとれていない」「ほとんどとれていない」の値を合計すると13.3%である。7時間〜8時間未満という平均に近い睡眠時間をとっている中学生35%のうち、3分の1以上は、家庭での睡眠に不満を訴えているのである。
 逆に「充分とれている」「まあまあとれている」を合わせた数値がもっとも高いのは、睡眠時間8時間〜9時間未満の行(水色)の13.3%であり、平均睡眠時間よりやや長く眠ったほうが満足感を得られるようである。
 しかし、睡眠時間5時間〜6時間未満、6時間〜7時間未満の行(黄色)にもある「充分とれている」「まあまあとれている」の分布からは、個人による睡眠の質が違うことを知ることができ、それゆえ満足した睡眠を得るためには、眠りの質を高めることが重要ではないか、ということがいえる。

表3(単位:%)

睡眠時間 総数 充分とれている まあまあとれている ふつう あまりとれていない ほとんどとれていない
5時間未満 1.2% - - - 1.2% -
5時間〜6時間未満 3.6% 1.2% - 1.2% 1.2% -
6時間〜7時間未満 16.8% 1.2% 1.2% 6.0% 6.0% 2.4%
7時間〜8時間未満 35.0% - 8.4% 13.3% 13.3% -
8時間〜9時間未満 37.4% - 13.3% 16.9% 6.0% 1.2%
9時間以上 6.0% 2.4% 2.4% 1.2% - -

3. 《「居眠り」とは、どういう状態だと思いますか。思い当たるものをすべて選んでください。(座りながら眠る・うとうとする・思わず眠ってしまう・うそ寝をする・公共の場所で眠る・その他)》

どういった状態が居眠りであると考えているのかを聞き、自分が居眠りをする状況を書かせることで、中学生の居眠りのスタイルを探る(グラフ2)。また、「その他」では、選択肢以外の意見を書き込めるようにした。
 「うとうとする」「思わず眠ってしまう」が68%とを占め、居眠りが故意でなく、意識しないうちに眠ってしまったという状態であることがうかがえる。「その他」の意見でも、「少しだけ意識の残ったまま寝ている状態」という記述があった。意識せず、自然な状態で眠ることは、非常に心地のよいものであるから、ほぼ7割の生徒は居眠りに心地よさを感じているのかもしれない。逆に「うそ寝をする」(3%)といった、意識のはっきりとした状態を居眠りであると捉えている生徒もいる。
 また、「公共の場所で眠る」(8%)に関しては、他の選択肢が個人の自覚に伴った見方をしているのに対し、非常に客観的な意見である。「その他」に書かれていた「物事を行なっている途中に眠ること」という意見とともに、居眠りが周囲の状況と関わりをもっていることがうかがえる。

4. 《授業中、居眠りをしたことがありますか。(ある・ない)》

 授業中に限った、居眠り経験の有無を問う(グラフ3)。
 「ある」が100%近くに達すると予想したが、意外に「ない」の割合が多かった(39%)。この背景としては、学習塾でアンケートを取ったために、質問項目にある「授業中」を学習塾の授業中であると判断した生徒が多いのではないかと推測される。しかし、それでも半数以上(61%)が授業中に居眠りをしたことがあるということは、教育問題として非常に興味のある結果である。

5. 《(4.で「ある」と答えた方にのみお聞きします)居眠りをしたときの先生の対応はどのようなものでしたか。当てはまるものをすべて選んでください。(起こされた・立たされた・顔を洗うよう言われた・無視・理由を聞かれた・後で注意された・教師は気づいていなかった・その他)》

 自分が授業中に居眠りをしていたとき、教師は自分に対してどのような態度をとったかを聞き、生徒の視点からみた、教師の居眠りに関する扱いがどのようなものであるかをみる(グラフ4)。「その他」では選択肢にない意見を書き込めるようにした(選択肢:「顔を洗うよう言われた」は、値が0のため、グラフから除外してある)。
 「起こされた」「立たされた」「理由を聞かれた」「後で注意をされた」を合わせて33%。これらの場合、教師は居眠りに関して、生徒と何らかの関わりをもっているといえる。その中でも、「理由を聞かれた」(3%)というのは、教師からの一方的な働きかけではなく、生徒からの答えを求める行動であるといえる。
 反対に、「無視」「教師は気づいていなかった」が合わせて66%と、生徒に働きかけない教師が半数以上いることがわかる。ただ、この意見は生徒がそう感じたという意見であるので、居眠りが「うそ寝」でない限り客観的な判断はできない。「無視」(42%)といっても、居眠りしている生徒をまったく放っておいたかもしれないし、気遣って寝かせておいてくれたかもしれない。また、「教師は気づいていなかった」(24%)にしろ、本当に気づいてない場合や、気づかぬ振りをしていた場合も考えられる。
 いずれにしろ、生徒の居眠りに関して積極的に働きかけていく教師は、3分の1にとどまっているようである。

6. 《授業中の居眠りに大きく影響するのは何だと思いますか。思い当たるものをすべて選んでください。(睡眠時間・本人のやる気・授業内容・教師の姿勢・教室の環境・その他)》

 学校生活においての居眠りは、どういった要因に左右されるかを生徒の感覚から調べた(グラフ5)。「その他」では、選択肢以外の意見を書いてもらった。
 睡眠に関しては、質問1,2で述べたように、時間(量)ではなく、質が大事であるが、「睡眠時間」という答えは26%と多かった。また、「本人のやる気」(31%)は一番多かったが、やる気のないときに居眠りをした、またはやる気があるときは居眠りをしなかった、という経験からくる意見であるように思う。これらはいずれも自分自身からくる要因である。
 そして、「授業内容」「教師の姿勢」「教室の環境」の割合をみると42%と、生徒のほぼ半数が居眠りにつながる要因として、学校や教師を挙げているのである。
 「その他」としては、「体のつかれ」が挙げられている。確かに体育(特に水泳)の後の授業などは、非常に疲れが感じられた記憶がある。疲労からくる眠気はそれこそ本能的なものであるから、その睡眠が有効にとれるよう考える必要があるかもしれない。

7. 《居眠りにまつわる思い出やエピソードがあればお願いします。》

 自由に書いてもらうスペースを設けた。失敗経験や、居眠りをしていて恥をかいた経験などが大方であった。

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